『秘密の密度』


「ハク秘密ばっかでずるいもん」

まだ帳簿を付けているハクの横で千尋はぷぅ、と頬を膨らませた。
最近、ハクには気になっていることがあった。
それは、千尋の「秘密」。
「何処行ってたの?」と聞いても「秘密。」
何を聞いても「秘密」と返すのだ。
前は、何のことでも普通に話してくれていたのに。
だから
『どうして千尋は私に秘密ばかりするんだ?』
と問いかけてみたのだ。
すると、やっぱりまた。

「秘密!」

しかしハクがそこで折れるわけがなく。
問いかけ、問いかけ、質問攻めにした。
千尋のほうが折れたのか。
ふぅ、とため息をついた。
出てきた、言葉は。

「ハク秘密ばっかでずるいもん」

私が秘密ばかり?
ハクは首を傾げた。
「何故千尋は私が秘密ばかりだと思うんだい?」
「だって・・・!ハクのこと本当はまだ全然知らないような気がするんだもん・・・」
好きな食べ物とか。
お気に入りの場所とか。
好きな色とか。

千尋は、そういったハクの所を知らないのだ。

それを聞いた途端、ハクはふっと吹いた。
「それは「秘密」じゃなくて私が唯そういったものがないからだよ」
好きな色、食べ物、場所は特になく。
千尋の好きなものが、ハクの好きなものなのだ。
しかし唯

これだけは、好き。

「・・・一つだけ好きなものがあるよ」
千尋は顔を輝かせた。
「それは・・・・・・」

千尋の耳元で、そっと呟いた。



”千尋だよ”


投稿者 2002/04/05  豊見城華蘭(お伽物語)様


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